「岡田斗司夫の毎日メルマガ」に寄せられる相談に答えてみた

岡田斗司夫の毎日メルマガ~解決!ズバッとに寄せられる相談を、私が勝手に答えてみるシリーズ。思考訓練になるため、今後も続けていく予定です。
※いつもブログは「だ・である」調なのですが相談への回答は自然と「です・ます」調になってしまいます。気にせず読んでください。

 

相談1 「夫に口うるさくなってしまいます」

キノコさん/31歳/主婦 パートタイマー

“結婚して4年目になります。
夫が仕事上で重要な資格試験を毎年受けているのですが、あまり熱心に勉強をしません。その様子を見て、口うるさい母親のように夫を怒鳴ったり責めたりしてしまいます。そんな自分が嫌で嫌で仕方がありません。毎日自己嫌悪に陥ってしまい暗い気持ちになってしまいますが、また勉強しないでゴロゴロしている夫を見るとイライラして同じように説教をしてしまったり、怒鳴ったりを繰り返してしまいます。もっとドーンと構えていられたらいいと思うのですが、そのような心持ちになるにはどしたら良いのでしょうか?”

 

私ならこう回答する

理想の夫と理想の妻とのジレンマです。
しっかりと勉強している姿があなたの描く理想の夫です。小言を言わず構えている姿があなたの描く理想の妻です。怠けている姿は理想の夫ではありません。だから叱咤したくなる。しかし、叱咤すれば、それは理想の妻ではありません。どちらかの理想を取れば、どちらかを失う。さて、どうするか。

一番良いのは、叱咤しなくても夫が勉強するように仕向けることです。
怒鳴ったりするのは、人を動かすうえで一番安直な方法です。多くの人は、この方法を用いります。なぜなら、ストレスを発散しながら人を動かせるからです。ですが、安直がゆえに効果は薄いです。それは、あなたが身をもって体験しているはず。褒める、喜ぶ、ご褒美を上げる、競争意欲を掻き立てるなど手段は色々あります。夫に一番合っている方法を探して操ってください。

次いで良いのは、どちらかの理想を諦めることです。
夫を諦めるのであれば、怠けたままでいさせること。勉強は夫の意思に任せます。理想の妻を諦めるのであれば、叱咤し続けます。どちらかを諦める時は潔くしてください。両方を得ようなどと考えないでください。そうすれば、心の重みは半減するはずです。

 

 

相談2 「嘘をつくことが苦手です」

maoさん/20歳/大学生

“私は、嘘をつくことが苦手です。
嘘も方便という言葉がありますが、要領のいい人は上手に嘘を使っている気がします。女性なんか特にだと思います。
私はなんでも正直に話すので、衝突を起こしたり、面倒を引き起こすことがあります。
何でも正直に話してしまうのがいいのか、時と場合によっては嘘を使うのがよいのか、考えが知りたいです。”

 

私ならこう回答する

まるで、小学2年生が抱えるような悩みです。
時と場合によっては嘘をつくほうが良いに決まっています。そんなこと、大人であれば百の承知。こんな稚拙な質問はしません。
この質問の真意は、自己肯定です。あなたは言って欲しいのです。認めてほしいのです。「いかなる時でも場合でも、嘘をつくのは間違っている。嘘をつけないあなたは正しい」と。だから、こんな質問をしてきたのです。残念ですが、答えは先ほど言った通りです。

あなたは嘘をつくのが苦痛なのです。嘘をつくぐらいなら、周りに迷惑がかかってでも正直に話したい。おそらく、あなたは嘘を一つの罪悪と捉えているのでしょう。この考えは一生直らないと思います。そのため、あなたが取るべき戦略は、“嘘をつかずに周りに迷惑をかけないこと”です。

正直に話すと迷惑がかかると思ったら、“話さない”ようにしてください。嘘も本音も言わない。あくまでも“隠す”という方針です。

実は、あなたのように嘘をつけない人は意外と多くいます。その人たちは、何もしゃべらず“隠す”という処世術を知らず知らずのうちに身に付けています。あなたもこの処世術を身に付けたほうが良いでしょう。これが、あなたが現代を生きるために身に付けるべき“力”です。

 

 

相談3 「悪意に満ちている世の中」

浦上祐希さん/35歳/会社員

“なぜ世の中はこんなに悪意に満ちているのだろうとばっかり考えてしまいます。

周りは自分の事ばかり考えて、他人を思いやった行動をなぜとらないんだ?と考えてしまいます。
政治家は今後の日本をどうするかではなく、目先の票を目当てにした政策を考える 会社の上司は自分の出世の事だけ考えたゴマすりばかり。官僚は天下りするのがあたりまえ、もちろん良い人もいるのはわかっていますが、世の中悪人のほうが多いんじゃないかと物事をネガティブな方向へとだけ考えてしまいます。
何か良い方向へ考え方を変える事はできますでしょうか?”

 

 

[私ならこう回答する]

人は、嫌いな人の悪い点ばかり目に付きます。あなたの悩みも同じです。あなたは世の中が嫌いなのです。だから、悪意ばかり目に付いてしまう。悪意があるから世の中が嫌いになったわけではありません。嫌いだから、悪意が目に付いてしまうのです。治安もよく、経済大国であり、社会保障も整備されている日本。冷静に考えれば、あなたがいる世界が悪意に満ちているわけがありません。

さて、なぜあなたは世の中が嫌いなのか。人が世の中を嫌う理由はそう多くありません。あなたが世の中を嫌いな理由、それは“あなたが世の中から認められていないから”です。事実そうであるかどうかではなく、あなた自身、どこかでそう思っているのです。世の中が認められていないと思う気持ちは、言い換えれば、自分はもっと評価されるべきという気持ちの表れです。そのため、世の中から評価されている人に嫉妬を抱きます。それを誤魔化すために、悪意にフォーカスしてしまうのです。

あなたが出した事例を見てください。
政治家、官僚・自分の上司など、世の中からそれなりに評価を受けている人を挙げてきました。市民の万引きや犯罪ではなく、です。あなたは、世の中から評価されている人を悪人にすることで、心のどこかで落ち着いているのです。

このような心理状態は特に珍しくありません。ネット上で著名人らの失敗や犯罪を責め立てている人たちの中にも多くいます。有名人や成功者の失敗を責め、世の中から排斥することで、自分が認められないストレスを晴らしているのです。

では、どうするべきか。
あなたはもう何かの世界で名を馳せるしかありません。小さなコミュニティやニッチなマーケットでもいいのです。そこで有名になる。評価されたいという欲求は、大きなエネルギーになります。たいていは、ネット上で成功者の悪口などを言い解消してしまいます。それを仕事か何かに向けることができれば最良です。

 

 

 

オタクの息子に悩んでます 朝日新聞「悩みのるつぼ」より (幻冬舎新書)

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