広島カープと日本ワイン

昨年、広島が沸いた。25年ぶりに広島カープがリーグ優勝を果たしたからだ。優勝の裏には、25年もの間応援し続けてきたファンの存在がある。その情熱は他の球団ファンよりも熱い。セリーグ優勝を決めた広島―巨人の最高視聴率71%を記録したことからもその熱がうかがえる。

話しは変わって、今、日本ワインが躍進している。世界的なコンクールで入賞を果たすなど、世界からの評価は鰻登りだ。生産者は、糖度の高い葡萄を作るために知恵を絞り、試行錯誤を繰り返してきた。その努力が実を結び始めている。

正直言って、5年以上前の日本ワインのレベルは低かった。どれも水っぽく、イタリヤ、フランス、ドイツなどと比べたら明らかに品質が劣っていた。

5年前、日本ワインの試飲会に参加したときのことである。やはりどれもイマイチだったため、ソムリエに「数年前よりは大分マシになったけど、まだまだ発展途上だね」と言った。そしてこう質問した。「なんで日本ワインを推すの?」と。ソムリエから返ってきた答えは、「確かに、日本のワインは歴史が浅いため、まだまだ今一つです。でも、だからと言って誰かが応援しなければ、日本ワインは美味しくなりません。だから私は応援するんです」

粋だと思った。

ワインの葡萄は、すぐに作れるわけではない。土壌を育てなくてはいけないし、根が深く伸びるまで何年もかかる。「まだ美味しくないから」といって日本ワインにお金を払わなければ、生産者は潰れていってしまう。「発展途上だから買わない」ではなく、「発展途上だから買う」のだ。きっと、日本ワインを応援し続けて来た人は、今の日本ワインの躍進を見て、きっと嬉しく、そしてより一層美味しく飲んでいるに違いない。

日本ワインと広島カープが重なった気がした。