保毛尾田保毛男騒動は、LGBTへの理解に寄与したのか

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保毛尾田保毛男騒動、もうこの話題お腹いっぱいな人もいるだろう。この騒動を概観していた私も一つ所感をまとめるつもりで書き綴ってみたい。

某TV番組にて、石橋貴明が保毛尾田保毛男というゲイに扮して笑いを誘った。しかし、LGBT界隈から批判が寄せられ、テレビ局が謝罪する事態に至ったわけだ。ゲイの方をはじめ、LGBTで苦しむまたは苦しんできた方たちが例の番組を見て、「傷ついた」「嫌な思い出を思い出した」「同性愛者への偏見を生む」と声をあげることは間違っていないし、正論なのだと思う。

ただ1点気になることがある。今回の騒動でLGBTへの理解は深まったのだろうか。私が思うに、「面倒臭い奴らだ」と思われただけではないか。「だけ」と言うと言い過ぎだが、その傾向は多分にあると思う。

「面倒臭い奴らだ」と思われることは、ある意味効果がある。大衆に「LGBTに関わらないでおこう」「あえて取り扱わないようにしよう」といった意識を植え付けることができるからだ。つまり、LGBTに関する表現への抑制には効果を発揮するだろう。だが、それは果たして理解が深まったことになるのだろうか。いや、ならない。ただ単に、距離を作ってしまっただけではないか。理解を遠ざけてしまったのではないだろうか。

アメリカは差別をなくそうと努力してきたが、トランプ大統領の誕生を見て分かる通り、アメリカは差別への言動に蓋をしていただけで、差別意識が消えていたわけではなかった。同じく、ネトウヨへのヘイトスピーチを禁止したところで、韓国・中国人への差別意識が消えるわけでもない。

もちろん差別は是正されすべきだし、ヘイトスピーチも許してはいけない。

しかし、ここに正論の難しさがある。正論だからと言って世の中が正されるわけではない。正論だからこそ、言い方やタイミングなどが重要になる。

表現を抑えることは、正論を唱えて面倒臭さいと思われることで可能になるが、差別意識を失くすことは、正論の力だけでは難しいと改めて感じた一件だった。

 

PS
東京ゴッドファーザーズのハナは、個人的に好きです。

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