WEB上の名誉棄損に関する話題について

野球選手が一般人を名誉棄損で訴訟した流れから、ブロガ―(インフルエンサー?)も便乗して訴訟を検討し始めた。個人的には、どんな展開になるのか楽しみだが、ただ1点、野球選手とブロガ―は同じ構造ではないということは留意しておきたい。

野球選手は、誰かを批判したわけじゃないし、何の言論もしていない。加えて、自分ではなく親族が侮辱された。訴訟に値する正当性が極めて高い。

一方のブロガ―の場合、趣きが大分違う。そもそもブロガ―自身が特定のクラスター(集団)を嘲笑したり侮辱したりする発言を繰り返し、敵に回さなくてもいい大勢の人間を敵に回してきた過去がある。

私は、「誰も傷つけない言論や表現はありえない」と思っている人間のため、人を傷つけたことに対してブロガ―や言論人(表現者)が一方的に悪いとは思わない。ただ、だからといって、何の配慮もなく、集団を馬鹿にしていいわけではない。配慮も必要だ。炎上を頻繁に起こしているブロガ―の言論を見る限り、個人的には言葉に気を配っているか、配慮をしているように見えるかといえば、疑問符がある。

それはさておき、個人的に面白いなと思うのは構造である。
ブロガ―は特定のクラスター(集団)を嘲笑して、それを見た人は記事を書いたブロガ―(個人)を攻撃する。クラスターへの嘲笑は、特定の誰かに向けて発せられたわけではないため名誉棄損にはならない。しかし、記事を見て怒った人は書いたブロガ―個人へ攻撃するため名誉棄損が成り立つ。これは中々面白い構造だなと思う。

おそらく、精神的ダメージの総量なら「クラスターに向けられた嘲笑」のほうが大きいと思う。もちろん、ブロガ―の発言がどれだけ広まったかにもよるが。

誤解して欲しくないのは、「言論者や表現者は、誹謗中傷を受忍しろ」と言いたい訳ではない。ただ、「火種を作ったのは自分かもしれない」という認識は必要だということだ。それを鑑み、この発言は許せないと思うものや、しつこく粘着してくる人がいれば訴えればいいと思う。


 

 

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インフルエンサー各位にお願いしたいのは、諸兄らの影響力は強大なので、訴える!と表明することが脅迫に当たらないよう気をつけてもらいたいこと。そして訴えを起こすときはあくまで名誉の回復のためであって、そこに売名と金儲けと新たな炎上の意思がないことを神仏に誓ってからにして欲しいこと。

 

 

最新判例にみるインターネット上の名誉毀損の理論と実務 (勁草法律実務シリーズ)

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