近年、社会問題としてクローズアップされているのが「奨学金の返済問題」である。奨学金が返せず自己破産する学生や困窮した生活の中で学生生活を送る者も少なくないと言う。「借りたものだから返すのが筋」という論や、「奨学金(学費)が高過ぎる」といった批判もあるが、私はそこにはあんまり関心はない。
少し話が変わるが、
デザイン業界には、いい人材を採用するためにデザイン学校を作る会社がある。集まった生徒にデザインを教え、卒業生の中から優秀な人材を自社に勧誘しているのだ。
デザイン学校の話は、奨学金問題を少し違う角度から見ることができる。奨学金の返済率が高い大学はいわば、「当学校を卒業しても、奨学金が返済できる職にありつけますよ」を表している。収入だけで見れば、奨学金の返済率が低い大学には行かないほうが無難かもしれない。
奨学金の返済率を大学ごとにどんどん公表して欲しい。「返済率は、卒業後の収入を示す参考データになる」という認識が広まれば、大学も返済率を上げるために、頭を使うようになるかもしれない。たとえば、「こいつは返済できる能力があるかな」と返済能力を見るようにもなるだろう。
そもそも、金貸しというはそういう事業である。「奨学金」などと聞こえのいいことを言っているが、要は金貸し事業である。金貸しは、「相手の返済能力×自分たちの取り立て能力」でお金を貸す。銀行は「相手の返済能力」に重きを置き、闇金は「自分たちの取り立て能力」に重きを置く。
自民党が大学の教育費無料化(無料じゃないけど)を検討しているが、真の問題は、「卒業後の年収の低さ」にある。日経平均は好調に伸びているようだが、末端はその恩恵を感じてはいない。
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