一つの事実により、得をする人もいれば損をする人もいる。損をする人は、どうにかその事実を否定しようと躍起になるものだ。
「糖質制限」を例に挙げよう。
糖質制限は今、体脂肪を落とす有効な手段として注目を浴びている。死亡の原因は糖質だったという事実は、今までのカロリー神話に大きな衝撃を与えた。
この糖質制限が広まることで損をする人たちは誰か。カロリー制限を謳うダイエット業界もだが、農産業もダメージを負う。なぜなら、糖質の多い食べ物の代表に「炭水化物」があるからだ。
炭水化物は、お米やパンと言った主食。主食を制限されたら、農産業は大きな痛手を被る。当然、糖質制限を否定する事実が欲しくなるというものだ。
そしたらやっぱり出てきた。
2018年03月15日、日本農業新聞が掲載した「ご飯、うどん・・・ 炭水化物減らすダイエット 60代後半で老化顕著に 糖質制限ご用心」という記事だ。
農産業は、焦っているのだろうか?
このような発表は、長年、人間による追跡調査をして結論を出すものだ。マウスの段階ではまだまだ何とも言えない。時期尚早な気がする。
一方、2018年04月13日の東洋経済の記事『最先端の医学では「白米は体に悪い」が常識だ』では、日本人の身体50,000人以上を追跡して、「白米は糖尿病のリスクが高まる」と結論付けた。ほかにも、心筋梗塞・脳卒中といった動脈硬化によって起こるリスクも高まるとある。
ほかには、2018年4月7日の毎日新聞『「炭水化物が命を縮める」 衝撃論文の中身とは』では、2003年1月1日時点で登録した35~70歳の13万5335人を、13年3月31日まで7.4年間(中央値)追跡調査した結果
①炭水化物摂取量の多さは、全死亡リスクの上昇と関連している。
②総脂質も各種脂質も摂取量の多さが全死亡リスクの低下と関連している。
③総脂質、各種脂質の摂取量は、心血管疾患、心筋梗塞(こうそく)、心血管疾患死と関連していない。
④(乳製品や動物性食品に多く含まれる)飽和脂肪酸の摂取量は脳卒中の発症リスクと逆相関している。と書かれている。
さて、マウスでしか実験していない発表、一方では10年以上に亘り万単位の人間を追跡調査した発表、あなたはどちらを信じるだろうか?
こういった例は、どの世界でも起きている。
情報は常に「誰が発信しているのか」を見る必要がある。利害関係のある人間が書いた記事は、真に受けないほうがいい。他の情報も調べてみて判断することをお勧めする。
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