「正しいマナー」と「ふさわしいマナー」

Twitter見ていたら、こんなニュースが目についた。


なんでも、「とっくりでお酌をする祭は注ぎ口を使わず丸い部分から注ぐのはマナー違反」なのだそうだ。この意見に対して、「別に注ぎ口からやってもいいじゃないか」といった批判が集まっている。

私も以前、このニュースと同じ知識を飲み会でひけらかしている人と遭遇し、バカなこと言っているなと思って見ていた。

記事を読んでいて思い出したことがある。それは、「理論言語学」と「社会言語学」だ。

「理論言語学」は、正しい言葉遣いや文法といったものを研究する学問。マナーで言うところの「正しいマナー」である。一方、社会言語学は、その場でふさわしい言葉遣いを研究する学問。これについては、もう少し詳しい説明が要る。
たとえば、仲の良い友人と砕けた話をする際、正しい日本語を使って話したりはしない。または、相手が年上であったとしても、関係性によってははタメ口で話したりすることもある。これも正しい日本語とは言えない。だが、人間関係を良好にしているし。もし、親交のある人に対して正しい日本語で話しかけたりしたら、きっと心理的な距離が生じてしまうだろう。二人の間でその言葉遣いが了解済みのものであれば、それは“ふさわしい言語”なのである。マナーで喩えれば、「その場にふさわしい振る舞い(マナー)」である。

注ぎ口から注がないのは、“正しいマナー”なのかもしれない。しかし、みんなで楽しく食事してる最中にそういった知識を出し、和やかな空気に水を差すようであれば、それは“場にふさわしい振る舞い(マナー)”とは言えないだろう。

私個人としては、正しいマナーよりも、その場にふさわしいマナーのほうを重んじたほうがいいと思う。

 

 

陶芸家のツイート

 

 

 

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