『ピースオブケイク』の感想 / 元カノを助けるのはダメ男か?

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昨夜、映画『ピースオブケイク』を観た。この映画の評価は、綾野剛演じる菅原 京志郎をどう見るかによって分かれると思う。

 

全体の流れは(以下、ネタバレを含む)、
ヒロインの梅宮 志乃が失恋して住居を移す。
移した先の隣に住む菅原 京志郎に恋をする。
菅原 京志郎には同棲する彼女(あかり)がいた。
あかりは情緒不安定で突如失踪する。
その間に、梅宮 志乃と菅原 京志郎が付き合うことになる。
付き合っている最中にあかりが戻ってくる。
(あかりは行く当てがないと菅原 京志郎に助けを求める)
菅原 京志郎は、梅宮 志乃とあかりの間を行ったり来たり。
あかりと会っていると知った梅宮 志乃は、菅原 京志郎に別れを告げる。
1年後、梅宮 志乃と菅原 京志郎はバッタリ再開する。
梅宮 志乃と菅原 京志郎のキスシーンで終わる。(寄りを戻す)

 

さて、菅原 京志郎はダメンズだろうか? 多くの女性は、「この男は駄目だろ」と評価すると思う。

この映画を観ていて、評論家の岡田斗司夫氏が以前話した「元カノを選ぶのは正しい」論を思い出した。てか、そのまんまな映画だった。

どんな論なのかを説明すると、
今日は、付き合っている彼女の誕生日。今カノのもとへ向かう最中、元カノから「助けて欲しい」といった電話が入った。さて、あなたならどうする? ここで元カノを捨て今カノに向かう男は駄目。元カノを見捨てる男は軽い男と評していた。

私はこの論を聞いて、「めっさ分かる!」と共感した。しかし、女性からは大ブーイングだった。詳しく話すとこれ一つで映画批評よりも長くなってしまうため割愛するが、一言で言えば、元カノを選ぶほうが「男らしい」のだ。

そんなことはないと思うかも知れないが、菅原 京志郎が男らしい男であることを映画の中で表現している箇所がある。それは、借金を理由に逃げ出すバイトに、自分が経営するレンタル店の売り上げを渡すシーンだ。梅宮 志乃がこの姿を見て「一生付いていきます」と心に誓った。これは、菅原 京志郎の男らしさに見惚れたシーンと見て間違いない。菅原 京志郎は男らしい男なですよと、作者は暗に示しているのだ。

菅原 京志郎は、梅宮 志乃にあかりと会っていることがバレた後、「あかりとしっかり別れていないし、それに俺しか頼る奴いないし」と言う。まさに岡田氏が想定した状況そっくりである。バイトの子(交友のある人間)が困っていたらお金を渡してしまう男が、頼られれば助けようとするのは自然な流れである。それも、元カノなら尚更だ。

最終的に、梅宮 志乃と菅原 京志郎は寄りを戻すのだが、その際、菅原 京志郎はこの1年間、梅宮 志乃のことを想い続けた証を見せる。それを見て、梅宮 志乃は「大っきらい」と叫びつつ、菅原 京志郎にキスをするのである。

この「好きになった女は、別れた後も大切に想っている」という菅原 京志郎の性格・行動は、梅宮 志乃と付き合っている最中にあかりを助けてしまうことに通じている。その性格・行動が自分(梅宮 志乃)に向けられ、また惚れ直してしまうという展開がなんとも因果だなと思った。

 

 

ピース オブ ケイク