出生前診断、染色体異常が見つかって中絶するのは「優生思想」

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毎年17万人。
これは日本で子どもが中絶されている数だ。そのうち200人程は、出生前診断を受け、染色体異常が見つかった子である。染色体異常が見つかった場合、親の9割が中絶を希望すると言う。

書籍『選べなかった命 出生前診断の誤診で生まれた子』によれば、法律上、染色体異常を理由とした中絶は、優生思想にあたるとして認めていないという。


これは一体どういうことなのか。
染色体異常を理由に中絶している人が山のようにいるのに、法律では禁止されているとは。

法律上、中絶が認められているのは経済的・母体の肉体的な理由のみとされている。つまり、この法律を利用して、染色体異常が見つかった子を中絶しているのだ。染色体異常のある子どもは要らない。でも、それを理由に中絶ができないから、法で認められている経済的・肉体的を理由に中絶する、というわけだ。生活保護を受給する際は、財産をしつこく調べるのに対して、子どもを殺す時は紙一枚で済む。

この構造には反吐が出る。
政府は、優生思想は差別的でダメとしながら、中絶するための建前法律を用意し、優生思想を実行させているのだ。そして国民もそれに乗って、波風立てず運用している。

私は前から、「出生前診断は優生思想」と批判してきたが、本音は優生思想を批判しているのではない。優生思想は、人間が持つ本能のようなものだ。進化心理学の見地から見ても、より生存率の高い子どもを欲しがるのは親として当たり前である。

私が批判しているのはリベラル言論者である。
「優生思想はよくない」と言いながら、「出生前診断からの中絶」といった、現実に実行されている優生思想に対しては、見て見ぬふりを決め込んでいる。

綺麗事や詭弁、建前だけでものを語るリベラルに世界を変えることはできない。「人間はなぜそうなのか」といった本音(本性)を見つめ、受け入れ、考えていくことでしか世界は変えられないのだ。

 

 

人間の本性を知りたければ、進化心理学を学ぶのは必須。というか、これを学ばずしてリベラルを語らないで欲しい。