平等が悪にもなる話をしよう

今、フリーランス界隈が戦々恐々としている。インボイス制度が導入されようとしているからだ。

現在、売上1,000万未満の事業者は消費税が免除されている。来年からはインボイス制度が施行され、消費税の免除がなくなる。たとえ、売上が100万円未満でも消費税を納めなくてはならない。

「でも、今まで消費税をお客からもらっても納めていなかったんだし、これでほかの企業と平等になるからいいんじゃないの?」と賛成する人もいるだろう。
確かに、平等の観点から言えば、インボイス制度は紛うごとなき平等だ。

だが、生産性の意味においてインボイス制度は悪である。

これを説明するのに、果物を用いたアナロジーをしたい。
イチゴとリンゴ、みかん、いろんな果物があるが、種子を植えてから実るまでの時間はそれぞれ違う。なんなら、同じ果物でも赤く実るタイミングは微妙に異なる。事業者も同じで、実るまでの時間は各々違う。

あなたが果物園の運営者だとして、決まった時期になったからといって、実が青かろうが赤かろうが関係なく収穫するだろうか? しないはずだ。赤く実ったものから収穫するはず。


「4月が来たから全部収穫する」と言い、実りはじめた小さな実まで刈り取っている者がいたら、頭がどうかしていると思うだろう。インボイス制度というのはまさにこれと同じである。

だが、平等である。
平等であるからこそ、非生産的なのである。

私は時々「平等=善(正義)」について疑義を呈してきた。その一例がインボイス制度である。だが人類は「平等=善(正義)」のように、一言で済ませられる分かりやすい正義が好きだ。「インスタント正義」とでも呼ぼう。

性差を無視して結果を同じにようにしようとするフェミニズムもしかり。人類はきっと「インスタント正義」によって身を滅ぼすのであろう。


滅びる前に美女と……